このお話は、ひとつの消しゴムはんこから始まりま
す。
PXL_20251209_221326858.MP~2.jpg 744.74 KBこれは本稿の筆者が10年以上前に彫ったもので、表されているキャラクターは日本鬼子(ひのもとおにこ)です。

日本鬼子についてご存知ない方のために、簡単に説明しておきましょう。
元々、中国語に日本鬼子(リーベングィーズィ)という悪口がありました。日本人を鬼子、つまり悪魔呼ばわりしているわけですね。
2010年に尖閣諸島近海で中国漁船が海上保安庁に拿捕された事件の際、中国でこの「日本鬼子」の字を掲げたデモ行進がなされていました。その様子を見た日本人たちはこう考えます。

日本鬼子の名を冠した萌えキャラを作って、ウェブ検索で出てくるようにしよう!」

こうして生まれたのが日本鬼子です。試しに「日本鬼子」をGoogle検索してみてください。ピクシブ百科事典の記事 が出てくるはずです。このキャラクターの容姿などには、「鬼」と「子」という漢字に対する日中でのイメージの違いも反映されています。

悪口を萌えキャラに変えた。意味を付け替えてしまったわけです。
こうした大喜利的なコミュニケーションができる能力というのは、日本人の特に優れた部分だと、筆者は考えています。

さて、日本鬼子のお話はここでおしまいです。彼女のことは完全に忘れてください。ただ「意味を付け替える大喜利的なコミュニケーション」という部分だけ頭の隅にとどめておいてください。



忘却は完了しましたか?    では続きをどうぞ。



国旗を傷つける意味

誰にでも憎い相手はいて、相手の不幸を願ってしまうことがあります。そんなとき、直接その相手を痛めつけることができたら、私の機嫌はどれほどよくなるでしょうか。しかしこれができる機会というのは、現代の社会に生きる私達にとっては、極めてレアなものです。いきおい、何か別のものを傷つけて、かりそめの満足感を得ようとすることになります。
では、何を傷つけましょうか。憎い憎い相手に関係があるもの。相手が大事に思っているものほど適していますね。さらに相手が「自分は強く、美しく、正しい」と思っているきっかけになるものだとなおスカッとできそうです。
はい、これら条件を簡単に満たせる選択肢がまさに「国旗」なんですね。

しかし、国旗を傷つけられたほうとしてはたまったものではありません。「お前を直接痛めつけたい」というメッセージでもありますからね。反撃のツールが欲しくなります。そうですね、ヤツらを牢屋にぶち込むことができるなら、どんなにかスッキリするでしょう。(今デジャヴュを感じましたか?    その感覚を覚えておいてください)

ですから、反撃のツールとして国旗損壊罪が必要……いやちょっと待ってください!

反撃のツールは既に持っている

ここで、先ほど頭の隅にとどめておいたものを取り出していただきたいのです。

「意味を付け替える大喜利的なコミュニケーション」
これが日本人の特に優れた部分だと筆者は述べました。
そしてこれは、国旗を傷つける行いに対しても使えるツールです。

ちょっとやってみましょう。

1.日章旗に火をつける行い
→不死鳥は自らを燃やしその炎の中から蘇るという!    つまり「日本よ不死鳥のごとく永遠に生まれ変われ」というメッセージを送ってくれているんだね!    ありがとう!

2.日章旗の上に✖️印を書く行い
→おお、これは翼を広げたカラスの姿だ!    日輪に重なるカラスということは、神武天皇を導いた八咫烏に違いない!    つまりこの図は「日本人を栄光に導く」という願いのしるし!    ありがとう!    あ、足は三本にしてくれると嬉しいな。

3.日章旗の上に💩する行い
→💩とはつまり有機物資源、未来の生命の礎だ!        それを日本の象徴に置くとはつまり、「日本よ稔り豊かなれ」という祈りに他ならない!    ありがとう!

このようにすれば、「国旗を傷つけることを通じてお前を傷つけたい」という願いの存在価値を無に帰することができます。

憎い相手と同じものになってしまう、これほどむなしいことはない

本稿を執筆している令和7年12月、日中間の旅行やアーティストのコンサートが次々と中止になっています。
中国が暴力をちらつかせて日本を従わせようとしている!    と中国を憎んでおられる方も少なくないでしょう。

国旗損壊罪を設けるということもまた、他人を何らかのあり方に強制的に従わせるという意味を持っています。
それを待望するのであれば、暴力的な威圧で強制的に従わせようとする中国と同じことをしていることになります。

憎い相手と同じものになってしまう、これほどむなしいことも他にあまりないでしょう。

先に少し書いたデジャヴュの感覚を、是非ここで思い出していただきたいです。

そして、日本人の素晴らしい技術である「意味を付け替える大喜利的なコミュニケーション」を活用していただければ幸いです。