定期的に再燃する"たのピク"論争

サムネの画像は"たのピク"と呼ばれる画像です。初出は2014年のTwitterらしくかなり古い絵なのですが、定期的に炎上する画像としても知られています。こういう女性に対して男性は好意的だけど女性は否定的だよねという、それはお前の性癖やろとしか言えない話が延々繰り返されています。

ところで性癖と言えば源氏物語ですよね

ところで性癖と言えば源氏物語です。日本の男の性癖はほぼ源氏物語に詰め込まれており、後世の作家はただこの源氏物語を追いかけているだけという主張も存在します。源氏物語という補助線を入れることで、この"たのピク"はなぜ炎上するのか、理解しやすくなります。

"たのピク"が示す女性像

"たのピク"の女性は何を表象しているのでしょう。あんまり有能そうには見えないですね。おにぎりが全部コンブだったり、レジャーシートの下で石がでこぼこしているということは、そういう気遣いが出来そうには見えません。リンゴがぬるくなっているということは、それを見越してあらかじめタッパーを冷やす策を講じることは考えつかなかったということです。一方で、この緩やかな表情やアホ毛の出方からみて、一緒にいて落ち着けそうな女性である、ということが出来ます。

これは源氏物語でいえば花散里や夕顔のポジションですね。花散里はどちらかというとしっかり家内を取り纏めていたイメージがありますから、夕顔に近いでしょうか。あるいは「雨夜の品定め」での左馬頭のセリフ

今は、ただ、品にもよらじ。容貌をばさらにも言はじ。いと口惜しくねぢけがましきおぼえだになくは、ただひとへにものまめやかに、静かなる心のおもむきならむよるべをぞ、つひの頼み所には思ひおくべかりける。あまりのゆゑよし心ばせうち添へたらむをば、よろこびに思ひ、すこし後れたる方あらむをも、あながちに求め加へじ。うしろやすくのどけき所だに強くは、うはべの情けは、おのづからもてつけつべきわざをや。


(今は、ただもう、家柄にもよりません。容貌はまったく問題ではありません。ひどく気にくわないひねくれた性格でさえなければ、ただひたすら実直で、落ち着いた心の様子がありそうな女性を、生涯の伴侶としては考え置くのがよいですね。余分な情趣を解する心や気立てのよさが加わっているようなのを、それを幸いと思い、少し足りないところがあるようなのも、無理に期待し要求するまい。安心できてのんびりとした性格さえはっきりしていれば、表面的な情趣は、自然と身に付けることができるものですから)

これに近い感じでしょうか。ちなみにこの話を聞いた後、光源氏はさっそく行動を起こし夕顔と出会うことになります。

夕顔と決定的に相性の悪いタイプ"六条御息所"

この手の女性を猛烈に嫌うタイプの女性っていますよね。そう、六条御息所です。

六条御息所は身分・美貌・教養全てにおいて非の打ちどころのないハイスぺ女性であり、それにふさわしいプライドを持ち、独占欲も強くそれに相応しい扱いを求める女性です。重いタイプでもありますね。夕顔とは真逆です。源氏物語を時系列で追うと、光源氏は六条御息所を持て余していたところに夕顔と出会い、そちらにのめりこんでいくんですよね。そうして六条御息所の嫉妬は生霊となり、夕顔を呪殺するという話の流れです。

"たのピク"は現代の夕顔・六条御息所対立

今日でも"たのピク"に反発する女性はハイスペックな女性である可能性は高そうですね。2026年の炎上でも事の発端はたのピクを指して

年収も250万くらいなので入金力もなければ、各種リテラシーも低いでしょう。
パートナーとして戦力になるタイプではなく、子供の教育を任せるのも不安が残る。


と発言した人が出た事が発端ですから。発言者は結婚相談所の経営者のようです。つまり、年収がもっと高くて、リテラシーつまり教養も高く、教育熱つまり身分の獲得に関しても高い関心を持つ女性ということです。完全に六条御息所。

つまり"たのピク"は現代に甦った夕顔と六条御息所の対立(それも源氏物語と同様に、六条御息所から夕顔に対して一方的な)なのです。あなたも今後再び、"たのピク"が燃えているところを見たら、「ああ~現代になっても六条御息所が生霊飛ばしてるなあ」と思えるでしょう。